名馬達との再会…にまつわるエトセトラ

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サンエイサンキュー~It or She?
She is a horse.

中学校の英語テストでこう書いたらベケを貰うんだろうね。

It is a horse.

これなら正解かな?

確かに授業で動物には"It"を使うと教わった。

でもあれから20年経った今、管理人は堂々と"She"を使いたい。

20年程前、彼女に起こった命との戦いを思い出して…



サンエイサンキュー



父・ダイナサンキューは正直関東では馴染みがない。

1986年のデイリー杯を含めた3戦を全て完勝したものの、脚部不安を発症し底を見せないまま引退→種牡馬入りした。

その初年度産駒の中に小柄な芦毛の大人しい牝馬がいた。

この馬が生を受けた89年の前年、タマモクロス、オグリキャップによるいわゆる芦毛伝説の伝道馬達の活躍がありそれまで生産地に根強くあった芦毛は体質が弱く走らないというイメージは払拭されつつあったものの、若駒らしいヤンチャさがなく、むしろもっさりとした動きしかしなかったその馬は以前の悪い芦毛馬のイメージに取られても仕方なく期待されるわけもなかった。

だが1991年夏の札幌でデビューを迎えたサンキューは初戦こそ敗れたものの、連闘で臨んだ2戦目では後にダービーに歩を進めるゴールデンゼウス(もっともゼウスもこの時は人気薄)に5馬身差の圧勝をする。

さらにまさかの3連闘で札幌3歳ステークスにも出走するがニシノフラワーに圧倒され14頭立ての13着と大敗を喫する。

函館へ転戦するがクローバー賞も大敗し、2戦連続で大敗を喫した徳吉から東に鞍上をチェンジし出走した函館3歳ステークスでは14頭中12番目の人気にしか過ぎなかった。

だがこの日は天候こそ晴れだが前日降り続いた雨のため不良馬場。

後にわかることだが、実はこの馬、不良馬場に対する適正が非常に高かった。

持ち前の勝負根性ともっさりとした気性、いやここは大らかに周りの変化を気にしない大人びた気性と言っておくべきだろうか?これも悪馬場をクリアさせる後押しになったのだろう。

サンエイサンキューは2着に入線した。

ちなみにこの日中山で行われたセントライト記念で8枠レオダーバンが単枠指定されていたのだが、これがJRA最後の単枠指定馬。

裏開催に当たる函館開催では試験的に馬番連勝馬券を発売しており、函館3歳Sは枠連2060円に対し馬連は17100円ついた。

サンエイサンキューはJRA初の馬連万馬券の片棒を担いだ馬である。



北海道で5戦し、重賞2着で賞金を上積みしたこともあり、一息入れるのではないかと思われたサンキューだが雨馬場の府中に参戦し、マチカネタンホイザ、スタントマンなどをなで斬りにし、事実上の新設であるリニューアルされた3歳牝馬最強決定戦・阪神3歳牝馬ステークスへ向かう。

前走が評価され3番人気の支持を集めたサンキュー。

とはいえ西の雄・ニシノフラワーに挑む東のエースは藤澤厩舎のマル外・シンコウラブリイと見られていた。

だが本格化の気配を見せていたサンキューはラブリィとほぼ同じ位置からレースを進めると、早めに進出したフラワーを含めた3頭での壮絶な叩き合いを見せ、この2強に割って入ったのだった。



明け4歳を迎え賞金面で全く不安はないが、サンキューはクイーンステークスに出走し、快勝。

これで桜花賞直行かと思われたがなぜか牡馬相手の弥生賞へ出走。

この辺りからサンエイサンキューがデビューから全く休みなく使われているローテーションへの疑問が一部から湧いて来る。

弥生賞、桜花賞と掲示板を外す敗戦を喫すると、オークスに向け鞍上を東から田原に交代する。

ここまで来ると管理人もちょっとこのオーナーに守銭奴的な匂いを感じ始めた。

だが府中での良績に加え、鞍上田原もまだ天才と謳われていた時期で、いい感じに人気を落としていたサンキューはオークスで狙い目だと確信したまだ“馬券ファン”だった管理人はマイラーが人気となっている感が強かったこのオークスでサンエイサンキューから勝負することにした。

サンキューはイメチェンしたかのような後方待機から見事な末脚を炸裂させ、2着に入線。

アドラーブルとの馬連は10000円を300円程オーバーする万馬券となり、管理人初のGⅠ万馬券ゲットとなったのである。



万馬券を取らせてもらった馬って普通はその後応援する人が多いと思います。

だが管理人はそうなりませんでした。

札幌記念にサンキューが出走すると聞いてマジ?と思いました。

実際こういうローテーションで出走する馬はいるでしょう。

でもそれは一線級で戦っていない馬の場合だと思います。

サンキューは常に世代の最前線として戦ってきました。

既に社会人になっていた管理人はこの頃一番競馬雑誌や書籍を読み漁りテンポイントやキーストンの悲劇やらに詳しくなった頃、さらにサンキューが出てくる数年前にブームになったダービースタリオンという今なら誰でも知っているゲームが発売され、ちょっと過酷なローテーションを課すと悲しい音楽と共に予後不良の文字が躍るのを見ていたことなどから生じた他愛ない疑問でした。

札幌記念優勝、函館記念8着、サファイヤステークス優勝、ローズステークス2着。

この後エリザベス女王杯までの間に、オーナー、厩舎、そして田原騎手とサンケイスポーツの水戸、片山記者を交えた論争が発生します。

俗に言うサンエイサンキュー事件というヤツです。

詳しいことは他をググって貰えばわかるので省略しますけど、とにかくローテーションへの疑問を投げ掛けた田原の記事に水戸記者が絡み、その水戸の記事を批判した同僚の片山記者がサンスポを追われる事態となったのです。



エリザベス女王杯で5着に敗れたサンエイサンキューはオーナーの鶴の一声で運命の有馬記念に向かいます。

一石を投じた田原騎手から加藤和宏騎手に乗り代わりとなるのは最早必然でした。

後にこの時点で既に担当助手はサンキューのトウ骨は悲鳴を上げていたと証言しています。

それでも有馬記念への出走方針に変更はありませんでした。

中山の最後の直線までサンキューは頑張りました。

サンキュー自身はまだ頑張りたかったのでしょう。

でも脚は持ちませんでした。

競走中止…



予後不良の診断が下る程の重症でした。

でもサンキューはオーナーの要望により延命治療が施されることになります。

結局骨折から約10ヶ月後、サンキューは心臓麻痺で逝きました…



当時もう何だか訳がわかりませんでした。

私は本サイトのテンポイントの項でも書きましたが、馬の安楽死肯定派です。

生命を奪う行為を肯定するとは何事かと思う方もいるでしょうが、人間より細い脚で500kgもの馬体を支えるサラブレッドに地獄の苦しみを味わわせるよりもという感情が先に立ちます。

正確に言うとこのサンエイサンキューの死が尚更そういう思いを強くさせました。

このオーナーさんは未だに「競走馬はビジネス」と公言しているそうです。

つまりサンキューの延命に関しても「ビジネス」と割り切っているんでしょうね。



私が正しいことを言っているとは限りません。

オーナーの言ってること、やってることも間違っていることとは言えません。

田原騎手、水戸記者、片山記者に関しても誰が正しいと言えません。



でも一つだけ言えること。

オーナーにとってサンエイサンキューは

It's a horse.

だったのかなと思います。



そして私にとってのサンエイサンキューは

She is a horse.

なのです…



だから

Thank you!



Thank it!

なんて口が裂けても言いません…



様々なドラマと感動を生み出してきた有馬記念。

私にとっての有馬記念はこんな悲しい思いも内包していることだけは確かなようです。



今年は素晴らしいドラマが生まれますように…





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コメント
コメ欄でプチ復活「アテにならない予想・2010有馬記念」
お断り:
本人はこの通り買ってないことが多いです。

07札幌記念以来の予想なので地味にコメント欄でプチ予想してみます。

てか今年の有馬はかなり前からこの馬だと決めていました。
ええ、生誕70年ですからね、李小龍w
余りにも人気がないので来たらおいしい。
朝日杯がいかにも中山っぽい決まり方をしたこともあって○と▲は入れ替えてみました。

◎オウケンブルースリ
○エイシンフラッシュ
▲ブエナビスタ
△トーセンジョーダン
△ヴィクトワールピサ
△ペルーサ
2010/12/26 Sun| URL | 管理人
[ 編集 ]
読んでいて涙が出そうになったのでコメントさせていただきました。
サンエイサンキューという馬のことは、私は存じ上げませんでしたが、
もう少し調べてみようと思います。
ダービースタリオンでの予後不良。私もゲームでも馬が傷つくのがかわいそうで、
甘くしていたら、全然強い馬ができなかった思い出があります。
競馬はビジネスかもしれませんが、だからといってそれを公言する必要はないと思いますし、
ファンにも少しは配慮をすべきだと思います。


いつも考えのきっかけとなる、素晴らしい文章を読ませていただきありがとうございます。
そして私のブログにもご訪問いただきありがとうございます。
2010年のお礼にもなりませんが、リンクを貼らせていただきました。
来年もよろしくお願い申し上げます。
2010/12/30 Thu| URL | TAKANAO
[ 編集 ]
>TAKANAO様

励みになるコメント&リンク有難うございました。

サンエイサンキューの記事は阪神JFのエピソード用に書き出したものなんですけど、やはり有馬記念で散った姿が忘れられませんでした。
有馬記念ならネタになる馬はいくらでもいたのですが、ここで取り上げて興味を持ってもらえたのがとても嬉しく思います。
これまでもレース中に散った馬を数多く見て来ました。
競走馬の細い脚は過度な負担を掛けずともいつ故障してもおかしくないものだとは思います。
ただこの事故は避けられたんじゃないかという思いは20年近く経った今でも消えることはありません…

2011年も思いつくままに更新していくつもりなので末永くよろしくお願いします。
よいお年を!
2010/12/31 Fri| URL | 管理人
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